良い年をお迎えください ☆

本年も、ホームページをご覧になっていただき誠にありがとうございました。子ども達の生き生きとした生の生活の姿と、その裏にある発達についてお伝えできればと思って掲載してまいりました。全てのお子様を平等に掲載することはなかなか難しく、偏ってしまうことをお許しください。
さて、2008年も暮れようとしておりますが、残念な年末を迎えています。まずは、米国のサブプライムローンの問題から端を発した世界同時不況からくる労働者の解雇問題です。職を失い、住む所と食べるものがない人々が大勢みえて、新年を迎えることを祝えるような状況にないということです。
また、イスラエルでは空爆によって360余名もの尊い命が奪われているという事実です。他にも、通り魔事件であったり、振り込め詐欺、交通事故などで悲しい思いをした方々がたくさん見えました。本当に残念で、悲しいことだと思います。大抵の場合、最も弱いところに大きなしわ寄せがいくところも悲しいことですね(子どもや老人などの弱者)。
私たちは、人事のようにテレビで事件を見てしまいますが、いつ自分に災いが降りかかってくるやも知れません。自分の力ではどうしようもないことが多いですが、できる範囲で社会や自分の身のまわりの人々の役に立つ生き方ができればと思います。


さて、悲しく暗いことをお伝えしましたが、それぞれのできごとはほとんどが人間が引き起こしている事に気がつきます。人知を超えた天然災害はいたしかたありませんが、多くのできごとは人間の知恵や力で解決できるものばかりです。
たとえば、中東では、イスラエルにはイスラエルの言い分があります。また、ガザ地区のハマスには、ハマスの言い分があります。双方の思いが食い違うところで争いが起きています。
経済問題では、自社だけが発展すればよいのでしょうか?製造業であれば買ってくださる消費者のおかげで、サービス業でもそのサービスを求める人がいるから成り立っています。しかし、不幸にも会社側からは消費者の顔が見えないことが多く、解雇した派遣社員の方がひょっとしたら大得意様であったかもしれません。
どのような社会でありたいかは、私たち一人一人の考えに依っています。今の社会が良いか悪いかは別として、少なくとも私たちが作り上げてきたものではあります。
とすれば、私たちはこの社会を変えて行くことができます。どのような社会でありたいかを真剣に考え、少しずつでも実践することです。
競争社会だから、負けてしまうと生きていけない。そんなことを言われる方もあるでしょう。しかし、相手がいるから競争ができます。負ける人がいるから勝つことができます。負ける相手のことをまったく考えず、自分だけになってしまったら、もはやそこには勝ち負けなど存在せず、自分ひとりだけとなり、結局は自分も生きていけなくなってしまうのです。
私たち人間は、社会的な生き物です。社会というものは、様々な人がいる事によって成り立っています。自分と違う人がいるからこそ、自分という個性が引き立ちます。自分と違う相手を認めることで初めて自分の存在が意味を持ちます。
これは、乳幼児が自分を認識するときに、まず自分と違う相手という存在に気づくからこそ自分というものを認識できるようになることと似ています。
原子力が研究されていた頃、その巨大な力を、人を殺すために使うことを考えた人がいました。また、ある人は人々の生活が豊かになるために使う研究をしました。同じ力でも、それを扱う人によって、結果は正反対のものとなります。
勉強というものもそうですね。その力をどのように使うかで結果は異なってきます。幼児期は、成長発達の過程から言って、心が耕され養われる時期です。このときこそ、人として大切な心を育むための体験を積み重ねておくことが大切です。
心と体と頭は関わりあって成長しています。バランスの取れた経験と学びが大切です。今、バランスが取れずに成長した人が苦しんでいます。人間関係をうまくできなかったり、自分の思うとおりにいかないイライラや怒りを弱い他者に向けたりしています。大人になったら自己責任とは言われても、心を育む環境が貧困であったことが原因であったとしたら、一概に当事者を責めるだけでは問題も解決しません。
子育ては、とても難しく大変です。でも、難しい理論や発達や心理学を知らなかった先人たちも良い子育ては行なってきました。それは、「愛」があったからではないでしょうか。親の愛が子どもに通じ、しっかりとした信頼関係の中で、時には叱られ、時には褒められすくすくと成長してきました。
先を急ぎすぎずに、しっかりと「愛」を体でそして言葉で伝えながら子ども達の育ちを援助していきたいと考えます。
一年間、何かとご指導ご協力を賜り、誠にありがとうございました。私たち幼児教育に携わる者も皆様に支えられて今日あると、心より感謝申しあげます。新しい年が皆様にとって良い年となりますことを心よりお祈り申しあげます。