あけまして おめでとう ございます

あけましておめでとうございます。様々な問題を抱えながら新しい年を迎えました。相変わらず、タクシー強盗は起きるし、飲酒運転事故は後を立たないし(警察官さえも飲酒運転)、不況の脱出目途は立たないし、イスラエルでは激しい戦闘が続き、多くの人が命を奪われ傷ついています。
こんなことを書くと、子ども達の将来に不安を覚える方も出てこられると困りますが、将来は決して暗くはありません。それは、多くの人々が明るい社会を作りたいと思っているからです。
一人一人の思いがこの社会を作っていますから、一人一人がその思いを表に現し、実際に行動することによって社会は変革していくものと思われます。ただ、残念ながらどちらに進めば良いか判断がつきにくく、具体的な将来像をイメージできにくいところに難点があります。誰も見たこともない新しい社会をイメージすることはとても難しいものです。


では、いったいどうするか?
これからの社会を作り上げて行く子ども達が、自分の将来に明るい希望を持てるようにする。今、元気良く生きている事を尊ばれ、認められる。何も否定しなくても良い。これから成長していく存在だから。
私たち大人の価値観を押し付けない。古い考えにこだわりすぎては新しい社会を創造しにくい。共に考え共に歩む姿勢を持つ。
価値観もそう。できるできない。持っている持っていない。そんなことよりも今どう自分が生きているかが大切になります。
これからどうなっていくか?
明確な答えを出せる人は誰もいません。でも、今、たくさんの問題がある、今までの体制が壊れかけているというのは、時代にその体制が合わなくなってきているということ。つまり、混沌としてきた状態は、実は新しいものが生まれるための準備段階であるということができます。
歴史を紐解くと、私たち人類はさまざまな形態を経て今に至ります。狩猟採取から始まり、農耕、工業化、サービス産業、専制君主から民主主義へ。様々な発明や人口の移動や増加、自然環境の変化など、時代の変化に応じて人間は様々な形の社会を作っては壊し、さらに新しい形態を作り上げてきました。自由競争の時代から次に来るものは・・・。
一つの例として、中日新聞の社説はスウェーデンの高福祉高負担国家を挙げています。そこでは、国民の税・社会保険負担率は7割にのぼります。また、この大変革期を越えるためには協力社会であるというある教授の著書(注.1)も紹介しています。
一人一人の存在が、あってもなくてもあまり社会に影響がなかった時代から、一人一人の存在が重みを増す社会に変わりつつあります。そこでは、自分さえ良ければという考えでは生きていけません。人の役にたつ自分だからこそ生きている意味があるという時代が考えられます。
そんな社会を創造し、そんな社会で生きる子ども達のための幼児教育はどうあるべきか。いかに社会が変わろうとも逞しく生きぬく子どもを育てるためにはどのような教育が必要か。今年も皆様にそのための考えを折に触れお伝えし、また投げかけ、様々なご意見を頂戴しながら共に考えてゆければと考えます。
本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
(注.1)「『希望の島』への改革」
神野直彦(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)(NHKブックス)
希望の協力社会:利他行為が結局は自己の利益になるという協力の原理と思想        が埋め込まれた社会。人間の絆、愛情、思いやり、連帯感、        相互理解が重んじられ生きている社会。                         (2009.1.1 中日新聞社説より)