全国学力テスト %

先日、全国学力テストの結果が公表されました。
家族と話す子どもの正解率が高い。
書く習慣化で学力を底上げした。
思考力の強化が急務。
などの、文字が目に入ります。単純計算のようなものはできるのですが、記述したり説明したりする必要がある問題は苦手である傾向が伺えたそうです。
きちんと基礎から理解していないと、やはり論理的に考えて、人に説明できるまでの力は発揮できないということでしょう。
子どもたちに基礎からしっかり勉強しないとダメよと言ってはみるものの、はて、基礎とは一体なんだろうかという問題に突き当たります。


小学校教育では、一年生で文字の読み書きや計算を習うところから、それらが基礎らしいと考えられるのですが、実は、私は本当の基礎は幼児期にこそ培われているのだと言えると思います。
文字は、言葉を伝える手段です。
言葉は、心や思いを伝える手段です。
心や思いを伝えるのは、幸せになるためです。
私たちは、目に見えるものに惑わされて、本当に大切なものを見失っているときがあります。商業的宣伝に煽られるときもあるでしょうし、同じ年頃の子どもと比べてしまい、劣等感を感じることもあります。
決して、できることが幸せであったり、人よりも大きい、強いといった相対的な優位性が幸せの大きさに比例するわけではありません。
幸せの定義は人それぞれであります。唯一無二、唯今生きている私が感じるものこそが大切ではないでしょうか。考える、思うの原点は感じるところにあります。感性を高めることが幸せに生きていくために大切なことだと言われる所以も合点がいきます。
人間の生きる目的は何かと問われて、即座に明確な答えを出せる人は少ないと思いますし、さまざまな意見がありますが、不幸になるために生きていると言う人はいないでしょうし、少なからず人は幸せになりたいと思うものだと考えています。
学習の方法はたくさんあることでしょう。でも、どのような学習法であっても、自分が幸せになってゆきたい、こうでありたい、こうなってゆきたいという心があってこそ、本物の学力が身についてゆくものではないかと考えます。
また、その基になる幼児期の発達をこそより深めておく必要があるのではないかと考えます。来年度から、幼稚園教育要領が改訂されます。幼稚園教育要領は子どもの発達に沿って考えられていますが、近年の子どもに不足していると思われるところが追加されたり、強調されたりしてきています。
「協同的な遊びと学び」といったものや「感情を動かしながら人と触れ合ったり関わったりするなかでのそだち」「食育」「幼少関連」などが以前にもまして多くページが割かれています。
社会が変化し、地域社会での子どもの育ちの場がなくなってしまいました。そこで、その子どもに合わせてじっくりと育てられていた心や人と関わる力が育ちにくい社会になってしまいました。だからこそ、それを幼稚園で補完しなくてはならなくなりました。
まず、そのようなものから育ててゆかないと、うまく学習を通して人格形成を図ることも難しくなってきました。心や人と関わる力は目に見えないし、それを育てる努力も成果も見えにくいものです。でも、それこそが人間形成に最も大切なものだと考えます。その成果は、10年、20年経たないと見えにくいものですが、目の前の子ども達一人一人の幸せを考えたとき、今やるべきもの力を入れるべきものとして考えています。