「ありのまま」を受け止める ☆

子どものありのままを受け止めることは、とても難しいことです。頭では分かっていても、ついつい感情的になってしまったりします。
人間関係において、良い方法やマニュアルはありません。それは、前後の状況や関係する人間が一つ一つの場面で異なるためです。全く同じ場面で同じ方法でうまくゆくということは無いのです。
学校での教科学習では、正解を求める思考をし、正しければ認められ、誤っていれば、もう一度正解に至る道筋を学習し直す必要があります。
ところが、人間関係においては、お互いがより良い関係を作り、それぞれが安定して両立できることを求めますから、時と場合によっては全く正反対のことが正解になるところもあります。
人間関係をうまくやっていく力は、今後ますます大切になってゆくことでしょう。それは、小さい頃からの人間関係によって育てられますから、幼児期の教育、人間関係の重要さは増すばかりです。


さて、私たちが子どもを育てるときに、いろいろな形でそのノウハウが伝授されています。たとえば、
「七つ褒め、二つ叱って、一つ教えよ」という言葉があります。
これぐらいの割合で、育てるとうまくゆくよということなのですが、問題は、何を褒め、何を叱り、何を教えるかという事ですね。
子どもは、本来は褒められようとして、叱られようとして、また、教えられようとして生きているわけではありません。子ども自身が興味関心を持ってやっている事が、大人から見て、褒めたり叱ったり教えられたりの結果になるだけですね。
その結果から、子ども達は自分がしている事に対して良い事悪いことが少しずつ身についていきます。ということは、結果はともかくとして行動してみるということが大切になります。能動的に生きる姿勢が、より良く発達するために必要ですから、叱りすぎて消極的にさせてしまっては、成長するための経験を積む機会を減らしてしまう恐れもあります。
「まず、子どものやろうとした気持ちを受け止めよう」という態度が大切なことは、このようなことから理解できることと思います。それは、直ちに大人が善悪の判断を下すのではなく、「~~してみたかったんだね」と一旦は子どもの行為や思いを受け止め、その上で、大人にとって困る行為であれば、それを伝え、子どもの思いを達成するための他の方法を一緒になって考えたり、あるいは教えたりすることが大切なのではないかと思います。
一つ一つのこのような積み重ねが、子どもの心に様々な善悪の判断や、生きていくための知恵を育てます。うまくゆく方法を教えるだけでは、それから外れた場面では対処できなくなる恐れがあります。「急がば回れ」ですね。子ども達が言葉を一つ一つ丁寧に覚えてきたから、複雑な言語体系を理解し応用できるようになったように、一つ一つの場面で丁寧に向き合ってあげることにより、子ども自身の人間関係をうまくやっていく力が育っていくのでしょうね。
いきなり大人の判断でガツンと子どもとぶつかるのではなく、たまには(全部出なくてもいいのです)やんわりと受け止め、丁寧に教え導くことも大切なことですね。