「親子の絆」が支える子どもの育ち

 赤ちゃんが母親のお腹の中にいるときは、へその緒や胎盤を介して赤ちゃんと母親はつながっていました。物理的に母子が一体化していました。
ところが、出産後は、赤ちゃんは全く母親から分離され、別のそれぞれ独立した存在になってしまいます。
しかし、赤ちゃんが生きていくためには、母親に依存しなければなりません。そのために必要なのが「親子の絆」なのです。
「親子の絆」は、親子だから形成されるというものではありません。心と心が通じ合っている事ですから、日常の心と心を伝え合うコミュニケーションから育まれてきます。


母親とのつながりであったへその緒を切られた赤ちゃんは、この心と心を伝え合うコミュニケーションをよりどころとして、親子の絆を育んでいくのです。こうしてできあがった親子の絆を基に、子どもは安定した精神的肉体的な発達が可能になります。 
逆に、この乳幼児期に親からの一方的な指示命令が多すぎ、子どもが自分の気持ちや思いを受け取ってもらってないと感じていると、他者に働きかける力が育ちにくくなります。
小さいときはおとなしくて大人の言うことを聞いてくれて育てやすいのだけれど、様々な能力面で、自発性や自律性、有能感や人と信頼関係を結ぶ力などが十分に発達していない子どもになる恐れもあります。
まだ、小さくて、できないことが多く、お母さんや先生を困らせることもたくさんあります。でも、この時期の情緒的かかわりが、後の発達に大きな影響を与えます。
日常的に、共感したり、心と心が通うコミュニケーションから信頼関係を築き、親子の絆を幹として、さまざまな方向に信頼関係を結ぶことのできる枝を張り、多くの人から信頼される子どもに育てたいものですね。