あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。平成22年がスタートしました。自分の周りでは、日々順調に時が過ぎていくように感じますが、実はそのこと自体が大変なことと気づくには、豊かな感性と深い人生経験が必要なのかと思います。周りの大変なことに気づかず人生が過ぎていくことも幸せの一つであるでしょうし、気づいて感じていくことも一つの幸せですね。
大人は大変なんだという人もいますが、子どももなかなか大変なのです。日々、様々なことを感じ、喜んだり悲しんだり、友だちと仲良く遊んでいるかと思えばけんかになっていたり・・・、生活そのものが、いろんな人との関わりで織りなされていて、それゆえ育つのだということも言えますが、自分の気持ちを十分にコントロールできるところまで育っていないことを考えると、私たち大人が考える以上に過酷な日常をすごしているのかもしれません。
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発表会のシーズンがやってきました。器楽合奏の受け持ち楽器を決めるために、自分で実際に触ってみて感触を確かめています。人気のある楽器は、順番待ちです。211215 日々の保育 005.jpg女の子には鈴が人気です。大人が考える目立つ楽器よりもおもしろそうなものに人気があります。目立たない楽器を担当する子は音楽的素養が低いかと言うと、そうではなくて、逆にやらせればなんでもこなしてしまう素晴らしい子ども達です。211215 日々の保育 007.jpgシンバルは男女共に人気がありました。211215 日々の保育 009.jpgおっと、これは!?211215 日々の保育 010.jpg子どもの豊かな発想には脱帽です。
小太鼓も小気味よい音が人気です。211215 日々の保育 011.jpg
「どれにしよっかな~」どれもおもしろそうで、なかなか決められません。211215 日々の保育 013.jpg「おっと、これもたたいてみよう!」211215 日々の保育 015.jpg「できたよ~」211215 日々の保育 016.jpg何をしていたかと言うと211215 日々の保育 018.jpg楽譜の表紙を作っていました。年長さんになると、さすがにしっかりと何でもできます。その意味がきちんと理解できるので、細かく指示をしなくても、自分なりに考えて進めていくことができます。
だんだんと楽器が決まってきました。211215 日々の保育 024.jpg決め方もそれぞれです。やりたい子が集まり、決め方をまず決めます。そして、皆が納得したところで、決めます。
この女の子達は、トライアングルを希望する子達です。じゃんけんの前に、勝てるように祈っています。211215 日々の保育 027.jpgいよいよじゃんけんです。力が入ります。211215 日々の保育 028.jpg残念ながら負けてしまいました。211215 日々の保育 026.jpgしかたがありません。合意の上でじゃんけんをしていますから文句を言うわけにはいきません。こんな小さい子に、そんな悲しい思いをさせなくても、一つ増やしてあげれば済むことじゃない、と言われる方もおみえかもしれません。でも、こんな感情を味わうことが豊かな心の育ちには必要なのだと思います。大人がお金でもって力ずくで解決するのではなく、いろんな人の心の機微に触れながら、自分の心に折り合いを付けていく、そんな中で子ども達は思いやりや優しさというものを学んでいくのではないでしょうか。
実際、過去には、どうしても大太鼓をやりたかったのにじゃんけんで負けてしまい、大泣きをしている子がいました。見るに見かねた先生が「代わってくれるよう頼んでみたら」とアドバイスしたところ、本当に代わってもらえたということもありました。さまざまな見方がありますが、このような経験の積み重ねが思いやりや優しさと言った心を育てていくのではないでしょうか?
無理にどもが困る状況を作り出すということではなく、日常の生活の流れの中で、様々に感じ、考え、心が揺さぶられる経験が心を育てるために必要で、決して「困っている人がいたら助けてあげなさい」とか、「人には優しく接するのよ」と言い聞かせれば育つというわけではないですね。
発達を支える課題とその評価についてはまだまだ研究が必要なところです。
心を扱うことは、目に見えないだけにとても難しく、行動から判断することが多いわけですが、だからといって、行動そのものを身につけさせることが大切なことではなくて、好ましい言動を発揮できるような考え方ができるような感性を育てることが大切ですね。そのためには、日々接し影響を与える保育者の人間性といったものが問われます。
自分の心も耕してゆける一年にしていきたいと考えます。本年もよろしくご指導くださるようお願い申しあげます。