人は人を救えるか?

中日新聞に、夜回り先生水谷修先生の連載が、毎週あります。今週は、「人を救うことはできない」という内容でした。
そんなことはない!現にたくさんの人を救っている人もいるではないかと反論される方も多いことかと思います。確かにそうですね。水谷先生が言いたいことは、悩みを抱える人に深く介入しすぎると、自分も引きずり込まれてしまう恐ろしさを説いているのだと思います。
専門家でも、引きずり込まれそうになってしまうこともあるそうです。人が抱えている悩みや苦しみは、その人自身が解決していかなければなりませんし、また、その人が一番良い解決法を持っているそうです。当事者が事情を一番良く知っていますから、当然といえばそうなのですが・・・。
有名な心理学者でありカウンセラーでもありました有名なアメリカの故カール・ロジャーズ先生は次のように言いました。


「答えは、クライアントの中にある」
クライアントとは、患者さん相談者のことです。カウンセリングにおいて来談者中心療法を提唱し、傾聴と共感により、クライアントが解決に至る道程を援助しました。
そう言われてみると、私自身も思い当たるふしがあります。自分なりの解決策や方法を考えついてはいるものの、本当にそれでよいのか、もっとほかに良い方法があるのではないかと考え込んだり、あちらを立てればこちらが立たずといったスパイラルに落ち込んでいたりして、踏ん切りをつけにくい状態であるがゆえに結論を出せない。ゆえに、悩み続けている。
悩めば悩むほど悩めてくるというのも、悩ましいものですね。幸い、子ども達はとても主体的に考え能動的に活動していますから、たくさんの経験を積むことができています。この時期に、主体的に生きる力が強まっていれば、将来困難があっても、乗り越えたいと思えば自分の力で乗り越えることができます。
幼児期には、さまざまな心を育てておく必要がありますが、特に主体的に生きようとする力だけは高めておいてあげる必要がありますね。自分の人生を作るのは自分ですから。
高めておいてやるとはいえ、それを高めるのは子ども達自身です。主体的に行動しなさいと指示すれば、既にその時子どもは受動的であるということも皮肉なものです。心は、関係において発達し変容していきます。周りの人的環境である私たちがどのようであるかということで、子どもの心の育ちが大きく左右されます。
思春期になると、子どもたちに様々な問題が降りかかります。大人になっても苦労することもたくさんあります。どんな状況になろうと自分らしさを発揮し、明るく希望ある未来を切り開いてゆく力の芽生えを培うのは、この幼児期しかありません。一つ一つ子ども達の心に丁寧に寄り添って、明るい毎日を作り上げたいと考えています。