チップス先生(必要なものと不必要なもの)

 今日の中日新聞のコラム「中日春秋」で、チップス先生の話が引用されていました。チップス先生は、ラテン語の先生なのですが、親御さん方から、もっと役に立つことを教えてくれと言われていたそうです。
 今、あちらこちらの高校で、必修であるべき世界史が履修されていないので卒業に影響するという問題が沸き起こっています。大学入試試験を意識するあまりの結果であったようなのですが、何が大切なのかということを考えさせられます。子どもの成長にとっても、今、本当に必要なものは何かを私たち大人がきちんと見極め、子どもたちの育ちを支える必要がありますね。


 どうしても目に見えるものに価値を見出してしまいがちな私たちですが、幼稚園教育要領では、この幼児期に育てるものとして、心情・意欲・態度をあげています。何かができる、知っているということも大切な力の一つではあるのですが、発達段階から考えて、幼児期の子どもたちに必要なものは、人間性の基盤であるということですね。これは、教え込めば身につくというものではありません。日々の生活の中での様々な体験が、心の中にこのようなものが育つ素地を築き上げていくのです。では、発達とは何かというと、それは、また、後々お話させていくこととして、様々な体験の中から育つ心情意欲態度を身につける援助は、簡単ではありません。何しろ、理屈の通じない子どもが対象ですから。様々な理屈が理解できるまでの体験があまりにも乏しいですから、理解できないことは当然のことなのですが・・・。それではどうしたらよいのか。
 先日、名古屋で愛知県私立幼稚園連盟の園長主任研修が開催されました。そのときにお迎えした講師は、東京の青木久子先生という方です。東京都の幼稚園長、指導主事や大学の講師等を歴任され、今は研究所で10何冊かの幼児教育シリーズの本を執筆中だそうですが、知り合いを通じて、無理をお願いしました。その先生のことばで、大変印象に残ったことばがあります。「伝達の中には育ちはない。対話の中に育ちがある」。このことばを噛みしめながら、日々子どもたちの心と向き合っていきたいと考えます。