サンタクロースへの手紙 ☆☆☆
幼稚園でのクリスマスパーティーが近づいてきました。子ども達は、パーティーにサンタさんが出席してくれるよう手紙を書くことになりました。文字を黒で書き、イラストをカラフルにと大人は思い込んでいますが、子どもはお構いなくカラフルに書いています。こういう感覚も大切にしてあげたいものですね。
次に、何を書こうかな?考え中です。イラストもきれいに色塗りをします。「ウフフフフ♪ぼく、もう書いちゃったもんね。サンタさん読んでくれるかな?お願い!」「サンタさんに届きますように!」願いを込めて、投函します。「お願いします」子ども達の祈りが聞こえてきそうです。「本当に届くのか?」って、それは届きますよ。だって、届いた証拠に、昨日返事が返ってきましたから。
えっ、本当に?とそれでも疑う貴方には、100年以上も前、アメリカの少女バージニアが新聞社に宛てた手紙(本当にサンタクロースがいるのかと言う質問状)に応えた社説を読んで下さい。サンタクロースは、物理的に実在するというよりも、人々の心の中にある愛や優しさや思いやりと言った概念と同じように存在するものなのです。確かに存在するのです。私は、この社説を読む度に目頭が熱くなってしまいます。名文です。
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バージニア、お答えします。サンタクロースなんかいないと言うあなたのお友達は間違っていますよ。きっと、その子の心には最近流行の「何でも疑って信じないぞ!」って言う疑り屋さんの気持ちが強いのでしょうね。疑り屋さんというのは、自分の目に見えるものしか信じない心の狭い人達なんでしょうね。心が狭いから、よくわからない事がたくさんあるのですよ。それなのに自分のわからない事は皆嘘だと決めてしまうのです。ですけど人が頭で考えられる事なんて、大人でも子供でも本当に限られたものなんですよ。私達の住んでいるこの限りなく広い宇宙においては、人の知恵なんて小さな虫の様に、それこそアリの様に小さいものなんですよ。その広く大きな世界を理解しようとするには、世の中の事を皆理解出来る様な深い知恵が必要なのですよ。
そうです、バージニア、サンタクロースがいるというのは、決して嘘ではありませんよ。この世界に愛や人への思いやりの心があるのと同じ様にサンタクロースも確かにいるのですよ。あなたにも分かっているでしょう、世界にある愛や人への思いやりこそ、あなたの毎日の生活を美しく、楽しくしているものなのだということを。もしサンタクロースがいなかったら世界はどんなに暗く寂しい事でしょうね。あなたの様に可愛い子供がいない世界が考えられないのと同じ様に、サンタクロースのいない世界なんて想像も出来ません。サンタクロースがいなければ、子供らしい夢も詩もときめきもなくなってしまうでしょうし、私達人の味わう喜びは、ただ目に見えるもの、手で触れるもの、感じるものだけになってしまうでしょうね。そう言った子供時代の世界に満ち溢れた光も消えてしまうでしょう。サンタクロースがいないですって?サンタクロースが信じられないなら、妖精もいないって言うのでしょうね。
クリスマスイブの夜にパパに頼んで探偵さんにニューヨーク中の煙突を見張ってもらったらどうでしょうか?ひょっとするとサンタクロースを捕まえる事が出来るかもしれませんよ。でももし煙突からサンタクロースが降りて来なかったとしても、それが何の証拠になるのでしょうか?サンタクロースを見た人はいません、でもそれはサンタクロースがいないという証明にはならないのですよ。世界で一番確かなもの、それは子供にも大人にも目に見えないものなのですから。
バージニア、あなたは妖精が芝生の上で踊っているのを見た事がありますか?ないでしょうね?だからと言って妖精なんていもしないデタラメだなんて事にはなりませんよ。世界中にある見えないもの、見る事が出来ないものが、何から何まで皆人が頭の中で作ったデタラメだなんて事はないのですよ。
赤ちゃんのオモチャを分解して、どうして音が出るのか、仕組みを調べたりする事は出来ます。でも、目に見えない世界を覆い隠しているカーテンを開く事はどんなに力自慢の人にも無理なのですよ。ただ、信じる気持ちと想像力と詩と愛とときめきだけがそのカーテンを一時開いて、カーテンの向こうの素晴らしい世界を見せてくれるのです。その素晴らしい世界は人が考えたデタラメなのでしょうか?いいえバージニア、それほど確かな、それほど変わらないものは世界の何処にも他にないのですよ。
サンタクロースがいないですって?とんでもない!嬉しい事にサンタクロースはちゃんといます!それどころか、いつまでも死なないでしょう。千年後も100万年後もサンタクロースは子供達に今と変わらずに夢やときめきを運んで来てくれるでしょう。
おしまい
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私が子どもの頃、我が家にはサンタクロースがきませんでした。ですから、学校でサンタさんが来たと言っている友達が不思議に思えました。でも、大人になると、少しずつ目に見えないものも感じられるようになって来たと思われます。大切なものの多くは目に見えないのですね。それを感じられるわかるようになるということが大人になるということでしょうか?
子ども達のワクワクドキドキするかわいい心を大切にしてあげたいものですね。