こかチ先生おめでとうございます !!

『Dance Work こかチ』の設立20周年祝賀会にご招待いただきました。
このたびは、誠におめでとうございます。一口に20年といってもなかなか大変なことです。オギャーと生まれた人間が、一人前になるために必要な年数です。
しかし、この間に、『Dance Work こかチ』は輝かしい足跡を残されてきました。愛・地球博に出演したり、さまざまな発表の場での活躍はもちろんのこと、昨年には、名古屋市民芸術祭の特別奨励賞を受賞されました。これは関係者にしかその大変さは理解できないかもしれませんが、ともかくとてもすごいことらしいです。
これにとどまらず、先生ご自身は大学で講師をされたり、たくさんの子ども達に踊る楽しさ、表現する楽しさを伝えておみえです。
特に、ダウン症の子ども達とその親御さん方のエンジェルの会さんとの結びつきは深く、活動を通じての先生の生きる姿勢には神々しいものすら感じます。
お土産にいただいた、先生の姪御さんが焼かれたおいしいドイツパンに同梱されていました手紙を披露させていただきます。


エンジェルの会さんのあるお母様からのお手紙です。
文中オープンセサミとあるのは、ダウン症を持つ子ども達のダンスチームのことです。
      ~先生の情熱、私たちの宝物~
こかチ先生、名古屋市民芸術祭特別奨励賞受賞おめでとうございます。そして、いつも素晴らしいダンスでオープンセサミのメンバーに刺激を与えてくれるダンスワークのみなさん、おめでとうございます。
いつもやさしく指導していただき、ありがとうございます。
1998年12月のエンジェルの会報に寄せていただいたこかチ先生のお手紙です。
「先日は楽しい時を過ごさせていただき、ありがとうございました。子供たちの心からの笑顔に接することができて、今も嬉しい気持ちでいっぱいです。
<中略>
ダンスをするのに、体の柔軟性を気にされる方が多いですが、それ以上に体を上に引き上げる力、各部の連動と制御が必要になります。先日は、遊んでいるだけのようなプログラムの中に、それらを組み込んで様子を見ましたが、エンジェルさんたちは、ダンスをするのに十分な運動能力でした。
エンジェルさんたちに会うまでは、その時々を共に豊かに過ごすだけを考えていたのですが、みんなの楽しそうな様子や、<舞台に立てたら・・・>という言葉、会報に書かれているお母さんたちの一所懸命な思い、それらがふわふわと雲のように私の周りを漂い、だんだんぼんやりと形になってきました。
本物の笑顔となごやかな人のつながりのすてきなダンスの世界ができるのではないか、全ての人が求めていながらふだんの生活でめったに得ることのできない理想の世界が、舞台の上で展開できるのではないかという夢です。それは手の届く夢です。そしてそれができたら、多くの人に感動を与え幸せにできるでしょう。
常日頃、ダンスの生徒やお母さん達に<ダンスは技術を見せけるものではなく、心を分かち合うものです。>と言い続けています。自意識の強い子たちが、技術というという目に見えやすいもので自分を評価したがるのも自然なことですし、技術も高くなってほしいのですが、本当に大切なことを見失ってほしくない。ダンスに限らず、世の中全体がそうですよね。ダウン症という特徴をもった子たちが、そのことを多くの人たちに気づかせてくれるのではないかと期待しています。」
このお手紙からオープンセサミが生まれました。もうこの時に先生は未来をはっきり思い描いていたことにおどろかされます。多くの人に見てもらいたいと先生が奔走してくださって実現した「健康フォーラム」も私たちにとっては、とてつもない大きな夢を見ているような舞台だったのですが、その後、「目標は万博です」と先生が言われた時には本当に万博でダンスができるとはとても思えませんでした。でも、先生はものすごく大きな情熱と実行力でわたしたちを万博に導いてくれたばかりか、空を飛んでシドニーのオペラハウスの舞台にも立たせてくれました。セサミのメンバーはステージに立つごとに自信を持ち、堂々と、生き生きと踊るようになりました。
 24時間テレビの時のカッコよくて優しいルゴルジュのお兄さんが、<ラララ 世界中には数え切れない夢の扉があって その扉を探しにいこう>とか歌っていたような気がしますが、こかチ先生が「開け ゴマ」と、開けてくれた扉の中には宝物がいっぱいつまっていました。たぶん、セサミのメンバーが生まれた時に、こんなきらきら輝く未来があると想像したお母さんはいなかったと思います。                 
でも先生、私たちはとっても欲張りです。もっともっと宝物を増やしたいと思っています。これからも先生の後ろをついていきます。珍道中の仲間ですがどうかよろしくお願いします。
ここまでが、お母様の文章です。胸打つ素晴らしい文章ですね。感動なくしては読めません。思わず、先生や子ども達の姿がまぶたに浮かび、目頭が熱くなります。
ぎすぎすした損得勘定が前面に出ていることが多いこの世の中にあって、なんと美しい心の交流でしょうか。こかチ先生が言われるように「全ての人が求めていながらふだんの生活でめったに得ることのできない理想の世界」を実際にこの人たちは手に入れています。ともすると、弱者扱いされ助けられることが多いセサミのメンバーが、実は、多くの人に本当の幸せの姿を教えてくれているのです。生きるということをきちんと考えていきたいものですね。「人はパンのみにて生きるにあらず」と言った人がいましたが・・・。もちろん、食べなければ生きていけないのですが、節度というものがありますよね。
こんなことを書くと、それでは、お前さんはさぞかし立派なんだねと言われてしまいそうですが、残念ながら凡人でございます。だからこそ考えて支え合っていけると嬉しく思うのです。小さな力でも手をつなげば、力を合わせれば大きな力になります。
今年の幼稚園の発表会のテーマは、「出会えてよかった」(命の誕生)ということなのですが、園長の思いとしては、「幸せは、一人では作れないんだ。二人でつくるものなんだ」ということを子どもの輝く姿を通して伝えたいのです。
こかチ先生の言葉を借りて、
器楽合奏や遊戯の技術を見せつけるための発表会ではなくて、子ども達が純粋に様々なことに喜んで取り組み、楽しんで生きている姿を感じていただくことが大切なことなのです。カッコよく言ってしまいましょう!
「子どもたちの命の輝きを心で感じてください」