ひたむきさが感動を呼ぶ !!

 先週の日曜日に行われた「大阪国際女子マラソン」でのできごと。
日本の中距離界のエース、福士加代子選手がフルマラソンに始めて挑戦しました。(3000、5000、ハーフマラソンの日本記録保持者)途中から失速し、残念ながら首位から15分遅れの19位でゴールしました。
途中4度も転倒し、その都度笑顔で立ち上がり、「フクシ」「フクシ」の大声援を受け、最後まで走りきりました。ゴールしたときの拍手は、優勝した選手よりも多かったそうです。
優勝した選手は、素質があり、十分で計画的な練習をし、誰にも負けない努力を積み重ねた結果の賜です。本当に立派で、すばらしいことです。でも、人々は、なぜ福士選手に感動を覚えるのでしょうか?
結果はともかくとして、はいつくばってでもゴールしようとするそのひたむきさ、一生懸命さに心打たれるのではないでしょうか。


考えてみれば、スポーツ観戦にしても、勝った人を見るだけであれば、結果を知るだけで十分なのですが、始まる前からワクワクドキドキし、はらはらしながら経過を見守り、結果が出たところでほっとする。
もちろん勝つことはすばらしいことです。努力の結果です。でも、負けたとしても一生懸命取り組む姿は、私たちのこころを感動へと導きます。
子ども達も、福士選手のように最後まで諦めずに、自分の力を出し切ってものごとに打ち込むことができる人に育って欲しいと思います。
では、どうしたらそのようにひたむきに努力し、何があっても諦めないで最後まで遣り通す人間に育つのでしょうか。周りから、「がんばりなさい」「一生懸命がんばりなさい」「努力は大切よ」と言い続ければ育つのでしょうか?
もし、こんなことで努力できるという尊い心が育つのであれば、子育ては簡単ですね。言っただけでは、子どもは素直にそれに応えてくれるわけではありません。子どもの心の中に、やりたいという気持ちが湧いてこないことには、なかなかできるようにはなりません。
でも、子どもの生活を見ているとそのヒントはたくさん隠されています。子どもは飽き性で、いい加減で、乱暴で、感情的に生きているかというと、そうではありません。
集中力のある姿を見せることがあります。高跳びに挑戦するときのまなざしは飛び越えてやるという意欲に燃えています。丁寧にものごとに取り組むこともあります。優しく先生や友だちをいたわり、助けてくれようとしてくれます。一生懸命考えて、自分のイメージしたものを作り上げようとして、失敗しても失敗しても工夫を重ねています。
日々の生活の中で、子ども達のすばらしい姿を認めることで、子ども達はそのような力を拡大し伸ばしていっているのではないでしょうか。私たち大人の子どもへのかかわりの姿が、子どもの発達の姿に大きな影響を与えていますね。