最近の少年による事件から

最近、少年(あるいは未成熟な青年や大人たち)の凶悪な犯罪が目に付きます。兄弟を殺したり、母親や両親を殺したりと、普通では考えられない事件が次々と起こっています。
凶悪なものだけでもこれだけたくさんあるということは、事件にならなくても、このような加害者に近い気持ちを抱いている若者が、その何倍も何十倍もいるということです。さらに、事件を起こさなくとも、心を病んでいる人が以下に多いことでしょう。
最近、夜回り先生で有名な水谷先生のお話が新聞等でちょくちょく掲載されるようになりました。私も、講演をお聞きしたことがありますが、心を病んだ子ども達の叫びが、水谷先生を通して響いてくるようでした。
誰も彼も幸せになりたいと思って生きています。不幸になりたいと思う人なんか一人もいないのです。なのに、悲しい事件が起こってしまうのは、幸せになるための基本的な考えや方法を考えられないからですね。
小さなときから、きちんと人として生きる心を育てることが大切ですね。


人としての心は、どのようにしたら育つのでしょうか。命を大切にするということは、繰り返し言い聞かせればできるようになるのでしょうか。人に優しくしなさいといったら、優しくできる子に育つのでしょうか。
人は、生まれてからは五感を通して、周りの世界を認識していきます。その時に最も大切なのは、皮膚感覚です。他の感覚(視、聴、味、嗅)に比べると、はるかに直接的に心地よい快感覚を感じることができます。
スキンシップが大切だといわれるのは、このためです。お母さん方、いっぱい子どもを触って、なでて褒めてあげてください。少なくとも子どもが嫌がる10才前後くらいまでは、言語とスキンシップを併用して、子どもを愛している事を伝えてください。
自分のことを大好きだといってくれる。叱られるときもあるけれど、お母さんに守られて自分が生きていると感じて育っている子どもは、少なくとも親の命を奪うようなことはしないでしょう。
命をいとおしいと感じる子どもに育てれば、命を大切にします。100回言い聞かせれば分かるのではなく、大好きと感じる命と出会うことが大切です。まず、第1はお母さん。そして家族。次に友だち。一緒にいて気持ちが良い、楽しい、そんな仲間の輪が広がっていくことが大切です。
事件を起こした少年たちの話に、友達があまりいなかった、学校では物静かだった、勉強はよくできて進学校に行っている、など共通する背景があります。様々な人間関係の経験が、あまりにも少なすぎる少年像が浮かび上がります。
少年に多く、少女には少ないということも何がしかの原因のヒントが隠されているかもしれません。
愛して育てることは、口では簡単ですが、なかなか難しいものです。だって、事件を起こした少年の親御さん方も愛情をかけてきたのですから。
本当に子どもに愛情をかけるということは、子ども自身が愛されているということが自覚できている事が必須要件だと思います。お父さん、お母さん、子どもの目を見て、心を感じて愛してあげてください。
十分に愛され、信頼されて育った子どもは、しっかりと自立し、自立心も旺盛で有能感にあふれ、主体的に人生を作っていける人に育つことでしょう。