☆☆ ぼくらの旗 ☆☆

230704 ぼくらの旗 040.jpg年長児は、夏休みに、おかあさんと離れてお泊り保育に出かけます。お母様は、大丈夫だろうかと毎年心配される方がおみえですが、楽しいプログラムがてんこ盛りですので、大丈夫です。お母さんを思い出す暇がないくらいに、日常では経験できない体験をしてもらいます。主なものは、
川での水遊び、
キャンプファイヤー、
クッキング(カレーライス作り)、
探検(捕虫網をもって虫探しをしながら)
新しい景色の感動(滝や風穴、大木、森林)
などです。
みんなで寝泊りする体験は、ぐっと子どもたち同士の心の距離を狭めます。これは、後々の人間的な発達に大変大きな影響を与えます。


これらのプログラムを、受動的にお客さん的にこなすだけでは、子どもの発達に必要な体験となりません。そこで、グループ活動を取り入れ、自分たちで主体的に取り組めるように工夫しています。
まず、リーダーを決めます。立候補を主として、やってみたい子どもたちの中から、リーダーに足る資質を持っているかどうか評価されます。ですから、やりたいだけではリーダーになれないのです(きびしいっ!)。子どもたちは、リーダーを決める過程でさまざまなことを経験し、学びます。(人に認められる人間の資質であったり、アピール力の大切さなど)このようなことは、教えれば育つということではありませんね。経験の中で培われていきます。
立候補するにしても、どのようなメンバーが立候補するか横目で眺めながら、これだったら自分でもいけそうか無理そうか考えたり、駆け引きが必要です。また、立候補してもみんなの評価の結果でなれるかどうかが決まりますから、大変難しいことです。
とにもかくにも、リーダーさんが決まったら、サブリーダーさんです。サブリーダーはリーダーの補助的立場ですから、そのような気配りや心遣いができる子どもが選ばれます。中には、リーダ-の指名があったりもします。
グループのメンバーも自分たちで考えて決めます。他のグループから誘われても、既に厚い友情で結ばれていたりして、これはこれでさまざまなドラマが展開されます。
これまでの過程で、グループはかなり強い結束力で結ばれてはいますが、ここで、グループの象徴である旗を作ります。230704 ぼくらの旗 001.jpgまずは、グループの名前を決め(もちろん合議です)、次にそれを象徴する旗のデザインを考えます。230704 ぼくらの旗 002.jpg「あーでもない。こーでもない」みんなが知恵を出し合って考えます。「あっ、それいいね。こんなのはどう?」なんて、意見を交わしながら下絵を考えています。230704 ぼくらの旗 003.jpgみんなで考えるのも楽しそうですね。230704 ぼくらの旗 007.jpgこれまでに積み上げた人間関係力の賜物です。230704 ぼくらの旗 008.jpgお友達の提案にも、「いやぁー、それもありか」「う~ん」などとさまざまな表情を見せ合いながら関わっています。230704 ぼくらの旗 009.jpg話し合いがうまくいっているので、みんな余裕の表情ですね。230704 ぼくらの旗 011.jpg協力して、どんどん下絵が完成されていきます。230704 ぼくらの旗 013.jpg「私たちのチームは、さくらんぼチーム。でね、旗は、こんな感じなの」230704 ぼくらの旗 015.jpg「どう?すてきでしょ?」230704 ぼくらの旗 016.jpg「ぼくたちは、レインボウスターチームっていうんだぁ。かっこいいでしょ」230704 ぼくらの旗 018.jpg「で、旗のデザインはこんなふう」230704 ぼくらの旗 019.jpg下絵が完成したら、旗の布に、彩色していきます。230704 ぼくらの旗 025.jpg「じゃあ、おれが輪郭描くね」230704 ぼくらの旗 028.jpgどんどん自分の得意なところは自分を発揮して作業が進んでいきます。230704 ぼくらの旗 029.jpg作業というよりも、みんな出来上がっていくのを楽しみながら時間を一緒に過ごしています。「できたっ」230704 ぼくらの旗 032.jpg「わたしたちのヨーヨーチームよ」230704 ぼくらの旗 034.jpg「プレゼントチームです」230704 ぼくらの旗 041.jpg「レインボウスターチーム、完成!」230704 ぼくらの旗 042.jpgこれらの活動の中には、子どもが発達に必要な体験を沢山しています。文字も、友達が描いているのを見ながら、あるいは、分からなければ自分で調べたりして、ゆっくりですが、その子のペースに合わせて習得し、発達していっています。意味のある、心揺さぶられる体験をしながら身に付けたものは、なかなか消え去ることはありません。ゆっくりのようにみえて、実は一番早い方法なのかもしれません。幼稚園教育要領においては、文字や数の概念の獲得は、必要感をもってといわれていますが、まさしく大切なことですね。必要でもないことを普通はやりませんし、覚えてもいません。
昔、心理学者のエビングハウスという人が、記憶について研究し、忘却曲線というものをつくりあげました。覚えているという行為をとっても、大変心と密接に関わった行為であり、意味ない記憶は早期に失われるというものでした。
この旗の下に集まった子どもたちがどのような活躍を見せてくれるか楽しみですね。皆様に、楽しいよい報告ができますよう準備を整え、お泊り保育に行ってきます。