朝から元気な声が聞こえます。
朝から元気な声が聞こえます。何をやっているのかなと覗いてみると、先生が落ち葉を拾い集めていました。それを子ども達も手伝っている様子です。みんなで、力を合わせて手伝っているところを見るのは、気持ちのよいものです。子ども達は大人がしている事を、大人がたとえ面倒くさいと思ってやっている事でも、おもしろそうに見えるようで「手伝ってあげる、手伝ってあげる」とうるさいくらいに言い寄ってきます。でも、ときどき、せっかく集めた枯葉を撒き散らして喜ぶ子どもがいる事は、片づけようと思っている先生にとっては、こまりものです。
何度も何度も枯葉を撒き散らすことを楽しんでいる子ども達。先生も一緒に楽しんでしまいました。「おめでとー。おめでとー」と言いながら、みんなでお腹が痛いくらいに「ぎゃはは、ぎゃはは」と笑いながら楽しんでいます。考えてみたら、私たちの生活の中には、心から、思いっきり笑う時間がどれほどあるでしょうか。私も考えてみたら、ときどき子どもと遊んでいて、顔を見合わせて思いっきり笑うということは時々あります。でも、そのほかにはほとんどありません。
笑うということは、生きていく上でとても大切ですね。笑う体験もたくさん積み重ねることができるよう援助して生きたいと考えます。
子ども達を大笑いに誘い込んでくれた先生に、感謝!感謝!
でも、ありがたいことにひとしきり笑ったら、また片づけ始めました。お兄ちゃんが小さな子たちに指図をしながら、きちんとやってくれました。子ども達は、きちんといろんなことが分かっています。ですから、実はそう叱ったりする必要はないのです。ただ、子どもの生きるペースと、大人の生きるペースが食い違うので、大人が困るだけです。大人が余裕を持って、子どもの生きるペースに合わせたら、子どもは結構しっかりといろんなことを理解していて、きちんとやってくれるものだということがわかります。
今度は、廊下で何だか楽しいことが始まったようです。廊下に椅子を持ち出して、たくさんの子ども達がたむろしておりました。なんだか、バスみたいに並んでいます。と、思ったら、やっぱりバスだったんです。荷物も積み込んでいます。「バスごっこ」の歌で、♪大型バス~にのってます♪というのがありますが、♪後ろの人は~眠ってる~♪、の状態です。だんだん眠っていきます。みんなと同じように同調して眠ることが楽しいのです。実は、こんな単純な遊びに、子どもの育ちに大切なものが隠されているのです。イメージを共有している。同調(シンクロナイズ)しているというところです。実は、こういう力は相手を理解したり、分かり合って協力していくために必要な元の力です。こういうことをたくさん経験しておくことで、人間関係をうまくやっていく力に、人の話しを理解して聞く力につながっていきます。
しばらく経ったら、椅子の並びが変わっていました。バスごっこは、もう飽きてしまったのですね。ちょっぴり危険を楽しんでいます。落ちないように、落ちないように・・・。ちょっぴり危険を楽しむ心を人間は大人でも子どもでも持っています。自分のもっている力よりもちょっと難しそうなことに敢えて挑戦することで、実は人間は自分の能力を伸ばしているのです。できる範囲のことしかやっていないのでは、伸びる余地はありませんが、こうやって、小さなことだけれど、冒険心を発揮し、挑戦しながら楽しみながら自分の様々な力を伸ばしていっています。
冒険心を、挑戦しようとする心を育てておいてあげる事は、自分で自分の人生を創造していく上で大きな武器になります。この幼児期には、多少のことは大人は目をつぶり、子どもの冒険心や挑戦心を育てる援助をし、子ども自身の自己肯定感を大きく成長させてあげる必要がありますね。